同窓会に呼ばれない人限定物語!三種の神機への道 1

同窓会に呼ばれない人限定の記事です。
普通の人は御遠慮ください。
この作品はフィクションであり、実在の人物、団体、事件、同窓会、時系列等とは
一切の関係がありません。また本文の内容と動画は関係ありません

(BGMにどうぞ)

久遠の絆

最近の昔、日本のあるところに、とても貧しい一家がありました。
母ちゃんと兄ちゃんとフラウの3人は、それぞれ身体が弱く、母ちゃんは、
メニエール病と、ひどい貧血に悩まされ、兄ちゃんとフラウは、体調がいい日は、
なんとか普通に生活できましたが、二人とも重いぜんそくで、発作が起こると
大変でした。大きな病院の先生も、こんな重いぜんそくは、みたことがないと
驚き、辛そうな顔で、このままでは、兄弟二人とも10歳まで、もたないと
母ちゃんにいったそうです。
ある日、母ちゃんは子供達のぜんそくがおさまるまで続けた看病の疲れで、
仕事中に倒れました。これで二度目です。
結局、それが原因になって、やっと見つけた病弱でもできる職を
失い、生活保護の相談もうまくいかず、母ちゃんは、深く絶望しました。
お金か健康のどちらか一つでもあれば、こんなに追い詰められることもなかったのにと
母ちゃんは無邪気に眠る子供達の頭をなでながら、微かに笑いました。
日本が豊かさを謳歌していたころの話です。
職を失って、数週間後、母ちゃんは子供達とレストランにいきました。
子供達は初めてのレストランに、はしゃぎました。
母ちゃんは店をでても興奮したまんまの子供達にいいました。
これから母ちゃんと遠いところにいこうと。親子は高い橋の上まで来ました。
フラウはひたすら母ちゃんに甘え、御機嫌でした。
でも兄ちゃんは、なぜか暗い顔をしていました。
母ちゃんが不意に立ち止まり、子供達を抱きしめ、ごめんな。と
つぶやいた時でした。兄ちゃんが突然母ちゃんを突き飛ばし、フラウの手を
引いて駆けだしました。フラウは驚いて母ちゃんの方に戻ろうとしましたが、
兄ちゃんは、こっちこい!プリンやるからと叫びながら必死に弟の手を
引っ張りました。フラウは一瞬、起き上がる母ちゃんを心配そうにみましたが、
兄ちゃんの気迫にのまれたのか、すぐに兄ちゃんと一緒にはしりだしました。
母ちゃんは、子供達の走り出す姿を見送りながら、しばらく呆然としていました。
やがて母ちゃんは我にかえると、もう日が暮れていることに気がつき、子供達が
心配になりました。母ちゃんは必死で捜し回り、子供達に初めての桜をみせてあげ、
いっしょにお弁当をたべた思い出の場所で、兄ちゃんとフラウをみつけました。
兄ちゃんは、母ちゃんに気づいても、冬桜の木を
フラウの手をしっかりと握ったまま、見上げていました。
兄ちゃんは、目に大粒の涙をためていいました。
「・・・桜、かれちゃったね。」
母ちゃんは涙をこらえて、冬桜、お約束の言葉を、万感の思いでいいました
「・・大丈夫。またきれいに咲くから。・・・必ず・・必ず春が来るから」
「・・・本当?」兄ちゃんは母ちゃんをみました。
「うん。」母ちゃんは、こたえました。
兄ちゃんは、フラウの手を離しました。フラウは、弾けるように母ちゃんに
抱きついて甘えました。やがて、フラウは、兄ちゃんプリンといいました。
兄ちゃんも、母ちゃんも笑いました。
それから、しばらくして、母ちゃんは、パートでしたが、あるまんが喫茶に
雇ってもらえました。体調不良を隠して一生懸命働きましたが、失敗の連続で
周りに迷惑をかけました。店長には毎日凄い顔で睨まれ、年下の同僚達
からも冷たい目でみられ、母ちゃんはいつもひとりぼっちでした。
そんなある日、母ちゃんはお客様が退室した部屋の片付けをしようと、
中に入ると、PCの画面いっぱいにチルノの笑顔が輝いていました。
お客様はニコ厨だったのです。
「・・・ニコココ動画。」
善きにつけ、悪しきにつけ、運命を変えるのは
出会いだけです。母ちゃんにとって、この出会いは人生を変える出会いとなりました。
母ちゃんはそれから毎日、休み時間はチルノとすごしました。
母ちゃんは、もうひとりぼっちではありませんでした。


チルノ

現代社会は人をバカにする地獄のような社会です。
バカにするか、バカにされるかという、勝っても負けても地獄におちる
無理ゲな現代社会と戦うチルノの動画の数々から母ちゃんは、
自分を尊敬することの大切さを教わり、B⑨(ビタミンリスペクト)
を自力で生産補給して、深刻なリスペクト欠乏症を克服することができました。
ビタミンリスペクトは幸福の素であり、必要に応じて、愛と希望と勇気と
智慧とその他いっぱいを生みだす精神性万能絶対必須ビタミンです。
チルノに教えられたB⑨自己生産で、元気になった母ちゃんは思いました。
「所詮、運命は野犬。強く賢く生きて、従えるしかない!」と。
母ちゃんは、次々と襲いかかってくる狂犬のような運命から、
どんなことがあっても、子供達だけは護って見せると固く心に誓ったのです
それからしばらくして、母ちゃんと子供達は、貧しい家庭に育ったものなら
一度は体験する戦いを経験することになりました。
ある日、母ちゃんに同窓会の連絡がきました。母ちゃんは現在の自分がみじめで、
いままで欠席していました。でも今回はでてみようと思いました。⑨パワーで、
虫けらのような自分に自信ができた母ちゃんは、別に貧乏は恥ずかしくない、
みすぼらしい格好でも関係ない。とにかく懐かしいクラスの友達に会いたい。
楽しかったあの頃に帰りたいと思いました。ただその日は子供達と文字通り歩いて
遠足にいく約束をしてありました。母ちゃんは困った末に大きな決断を下しました。
楽しみにしてた遠足の代わりに、子供達に一台、自転車を買ってあげるのです。一瞬、
同窓会用の服が欲しいと思いましたが、子供達のほうが大切です。喜ぶ子供達に
兄弟で仲良く使うようにいいきかせると母ちゃんは自転車を買うため、久しぶりに
親子いっしょに街へ行きました。初めてのマクドナルドにもいき、子供達が
小さな口で一生懸命ハンバーガーを、ほおばる姿をみながら、母ちゃんはこの世界で
私以上の幸せ者がいるだろうかと、チルノに心から感謝しました。
(BGMにどうぞ2 サビの部分と文章のフラウのセリフが合えば大吉です)

You Raise Me Up

母子にとって夢のような時間が過ぎました。しかし運命は残酷です。
母ちゃんは支払いのとき財布がないことに気が付きました。幸い上着のポケットにも
いくらかお金を入れていたのでその場はなんとかなりました。母ちゃんは必死で
探しましたが財布はありません。母ちゃんは混み合う店内で財布を、すられていた
のです。そういえば、なにか、こちらをみていた、男が無理矢理、割り込んできたのを
母ちゃんは思い出しました。気分が高揚して油断してしまったのです。
帰りのバスの中、母ちゃんは初めて子供たちの前で涙をみせました。
そして同窓会の日が来ました。母ちゃんは子供達に自転車を渡しました。
新品ではありません。アパートの大家さんにどうせ捨てるからと
タダ同然でもらった中古品です。すぐ乗れるように補助輪をつけ、
サビを落とし、一生懸命磨きましたが、やはり近所の子供達が乗ってるのとは
違いすぎました。しかし落ち込んでた気分は、
子供達の歓声で吹き飛ばされました。大喜びの子供達に元気をもらった
母ちゃんは、精一杯のおしゃれをして、気分良く同窓会に出かけました。
同窓会は最高でした。みんな十数年ぶりに参加する母ちゃんを温かく迎えてくれ、
心配してた見栄の張り合いもありませんでした。
みんな楽しかった学生時代のままでした。
母ちゃんは来てよかった、私は一人じゃない!みんながいるんだ!と
心の中で叫びました。同窓会が終わってみんなと別れ、子供達にお土産を買おうと
街を歩いていると、喫茶店に同窓会がえりの友人達が集まっていました。
母ちゃんはまだ時間もはやいし、もっとみんなと話したかったので
喫茶店に入りました。するとすぐみんなの声が聞こえてきました。
幹事役の同級生が、同窓会の時の優しい声とは違う声でいいました。
「・・・それにしても、あの子、よくあんなダサい格好で、でてこられたわね。
恥ずかしくないのかしら、一緒にいたこちらの方が恥ずかしかったわ」
学生時代一番仲の良かった友達がいいました。
「だいたい、誰があの子呼んだのよ!あの子がお金に困ってるの知ってるでしょ!
金貸してくれってつきまとわれたらどうするのよ!せっかく欠席続いてたんだから
呼ぶ必要ないじゃない!」
同窓会で一番仲良くおしゃべりしてた友人がいいました。
「そんなの知らないわよ!あの子が、あんなに落ちぶれてるなんて思わなかったわよ!
だから、これからいく二次会にも声かけてないでしょ!」
やがて彼女達は入口に立ちつくしてる母ちゃんに気がつくと、あわてた様子で、
みんなもう行きましょうよ!そうね!と声をかけあうと店をでていきました。
母ちゃんとすれ違うとき、バツが悪そうに眼をそらす者、憐れみの視線を向ける者、
開き直ったように冷たい視線を向けるもの、母ちゃんが日ごろ見慣れてる大人達の姿が
そこにありました。最後にすれ違った、学生時代の親友はうすら笑いを浮かべて
いいました。「がんばってね。」母ちゃんは、かすれた声で、うんとつぶやきました。
美しい夕焼けに包まれた帰り道、母ちゃんは、自転車に乗ったフラウが
近所の悪ガキ達に囲まれてるのを見ました。いつも泣き虫の弟を護ってる
兄ちゃんの姿はありません。兄ちゃんは一台しかない自転車を弟に譲り、
弟が補助輪付のせいもあってなんとか乗りこなしてるのをみると、
遠くにいくなといいきかせて、家に帰っていたのです。
見てると、自分が乗りたくて仕方がなくなるし、同窓会から帰ってきた母ちゃんが
寒くないように、安全だけど、あまり暖まらない電気ストーブの電源をいれて
少しでも部屋をあたためるためです。兄ちゃんがいないことをいいことに
悪ガキたちは、自分達の自転車と比べて、みすぼらしいフラウの自転車を
口ぐちにバカにしました。
言葉は最強の刃物です。(自分が死んだあとでも、)どんな者でも傷つけるし、
どんな者でも救えます。だからこそ手術に臨む外科医のように慎重に言葉は
使わねばならないのです。悪ガキ達の子供らしい容赦ない言葉は凶器となって
フラウと母ちゃんの心を切り裂きました。下を向いて、母ちゃんがくれた
大切な自転車の悪口をじっと聞いていたフラウはゆっくり顔をあげました。
母ちゃんは驚きました。予想した泣き顔でなく笑顔だったのです。
フラウは真正面から悪ガキ達を見つめて、いいました。「僕の方が嬉しいもん!」
悪ガキ達は気圧されたように黙り、母ちゃんがいるのに気付くと、救われたように
すてぜりふをはいて逃げていきました。フラウも駆け寄る母ちゃんに気付きました。
フラウは笑顔で母ちゃんを迎えました。でもその笑顔はさっきと違いました。
「・・・ぼくは強いよ」目に涙をいっぱいにためて、フラウはいいました。
人は本当に辛い時と本当に嬉しい時、同じ顔をするといいます。
母子は互いに初めての笑顔をみました。
母ちゃんはフラウを優しく抱きしめて、頭をなでました。
フラウは母ちゃんにいいました。
「がんばろうね!」母ちゃんは、かすれた声で、うんとこたえました。
そのとき、かあちゃんは、幸福とは苦を輝かせることであるという
⑨の深い意味がわかった気がしました。かあちゃんは、チルノの笑顔を
思い浮かべて、「私も、この子たちと一緒に、⑨に、最強に、必ずなります!」と
心の中で、泣きながら誓いました。
そして、母子は暖かい我が家に帰っていったのです。


東方project

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